フィギュアスケート五輪メダリストのプルシェンコさんのインスタグラムでの発言が物議を醸しています。
SNSではプルシェンコさんの発言に対して、「失望した」「残念」「正気になれ」「プーチンに洗脳されている」など批判殺到で大炎上しています。
これはプルシェンコさんの発言の中の「大統領を信頼している」という一部分を切り取って、それをメディアが一斉に報道したことが原因だと思われます。
しかし、プルシェンコさんのインスタグラムの全文を読むと、プルシェンコさんが本当に伝えたかったことが報道内容とは違うのではという風に感じられます。
また、プルシェンコさんはウクライナ系のロシア人で、妻のヤナ・ルドコフスカヤさんもウクライナにルーツを持っています。
さらに、妻のヤナ・ルドコフスカヤさんは自身のインスタで反戦を訴える投稿もしています。(現在は削除)
このような背景を見ると、プルシェンコさんのインスタでの発言は「大統領を信頼している」という意味合いだとするのには違和感を感じませんか?
そこで今回は以下のことについてまとめてみました。
プルシェンコ発言のインスタ全文
プルシェンコの「プーチン大統領を信じる」に違和感を感じる理由
プルシェンコ発言のインスタ全文
まずはプルシェンコさんのインスタグラムでの発言の全文をご紹介したいと思います。
物議を醸しているインスタでの発言は2つありますが、今回は最初の投稿を取り上げたいと思います。
この投稿をInstagramで見る
こちらが日本語訳をしたものです。
黙っていられないんです。アスリートとして、また良識ある人間として、スポーツは政治の外にあるという立場を共有しています。しかし、実際にはそうなっていない。月曜日、FIFAとUEFAは、IOCがすべてのスポーツで我が国の選手の出場停止を求めたことを受けて、我が国の代表チームをすべての大会から排除したのである。
今日、国際スケート連盟(ISU)は、ロシア人をその庇護の下に競技に参加させることを禁止している。これは大きな間違いだ!
スポーツと政治を混同してはいけないし、今のようにアスリートを罰したり、出場権や競技権を奪ってはいけないのです。これは差別であり、アスリートの権利を直接かつ著しく侵害するものだ。 我が国のスケーターは、世界最強であることを証明している。フィギュアスケートの面白さは、選手たちの存在なくしては語れません。スポーツ界のロシア代表に対して適用されている制裁措置は不適切であり、政治的なものである。もし、我が国の選手が国際的なスタートに立たなければ、多くの種目で強い者が国内にとどまることになり、勝利の価値が下がってしまうでしょう。IOCは最近、1894年に採用したオリンピックモットー「Faster, Higher, Stronger」を変更しました。今は、「より速く、より高く、より強く、ともに」と読みます。これは言葉だけなのでしょうか?今、彼らはロシアを世界のスポーツから孤立させようとしている。つまり、オリンピックの価値観は過去のものとなってしまったのだ。
誰もが平和を望み、私もそれを望んでいる!一日も早くすべてが終わり、交渉が実を結ぶことを心から願っています。私は大統領を信じています! 私は政治家ではなく、スポーツマンです。私の目標は、政治的な違いを超えて、スポーツへの愛によって人々を団結させることです。きっとみんなにできるはず!!!!
いかがでしょうか?
プルシェンコさんが伝えたいことは単純に「大統領を信頼している」ということではないと感じませんか?
プルシェンコさんの発言の内容をまとめると、以下のようになります。
- スポーツと政治を混同してはならない、政治の善悪を超えたところにスポーツは存在する
- 我が国の代表チームをすべての大会から排除したISUの判断は間違っている
- 誰もが平和を望み、私も平和を望んでいる
- 一日も早くすべてが終わり、交渉が実を結ぶことを心から願っている
- プーチン大統領がウクライナへの攻撃を止めてくれると信じている
- 政治的な違いを超えて、スポーツへの愛によって人々を団結させることが目標
特にポイントとなるのが⑤です。
日本の報道では「大統領を信頼している」とありますが、「信頼」ではなく「信じて」がより正しい和訳だと思うという意見がありました。
微妙な違いですが、印象が変わります。
「信じて」とすると「プーチンが早く停戦するという選択をとることを、彼に残された良心を信じている」という意図があるように感じますね。
つまり決して「プーチンの軍事進攻を支持している」わけではないのではないでしょうか。
プルシェンコの「プーチン大統領を信じる」に違和感がある理由
最初にも説明しましたが、プルシェンコさんのルーツや現在の背景を知ると、やはり「プーチン大統領を信頼する」「ウクライナ侵攻を支持する」という解釈には違和感がありませんか?
ここではさらに詳しくプルシェンコさんのルーツや現状についてみていきたいと思います。
- プルシェンコの父親はウクライナ人
- 妻のヤナの父親もウクライナ人
- ヤナは侵攻開始直後にInstagramで戦争反対の意思を表明
- 反露・親ウと脅迫され、誇りを失わないギリギリの言葉で釈明させられる
- プルシェンコのアカデミーは国立ではない
- 多くのスタッフや生徒達を守らなければならない立場
- ロシア当局からの監視の可能性
名字の終わりに、「~ェンコ」とつくのはウクライナ系なので、プルシェンコさんはウクライナにルーツがあるということがわかります。
また、妻のヤナさんの父親もウクライナ人であり、夫婦にはウクライナに親戚や友人がたくさんいるとのことです。
ヤナさんは侵攻開始直後にインスタグラムで戦争反対の意思を表明したことで反露・親ウと脅迫され、誇りを失わないギリギリの言葉で釈明させられました。
いたずら電話が頻繁に掛かってくるようになり電話番号を変えるなどの対応にも追われたそうです。
もともとウクライナにルーツのある2人なうえに、妻は国から目を付けられた可能性もあるわけですね。
そして、プルシェンコさんのアカデミーにはたくさんのスタッフや生徒がいます。
エテリコーチのサンボ70のように国立ではなく、プルシェンコさんの私財で設立されたアカデミーですから、自分自身で守らなければいけません。
これまでプーチン大統領の支援を受けてきたプルシェンコさんと言えども、このような現状を考えると、先ほどの発言が精一杯だったのではないでしょうか。
実際にそのように考えるコメントも多くありました。
プルの立場ではあれが精一杯でしょ…と思ったら、すでに奥様がインスタに反戦コメントしたせいで脅迫をうけたり嫌がらせの電話が凄いと聞いて震えている。
本心はわからんけど、プーチンの支援を受けてる有名人とはいえウクライナ系で、当局の監視も西側からの批判もあって、難しい立場だろうな。— うめQ🌍 (@ume_q_li) March 2, 2022
しかしながらプルシェンコさんの真意はプルシェンコさんにしかわかりません。
世界が近年直面してこなかった緊迫した情勢の中で、プルシェンコさんのことを批判しても良いのか、何か感じても投稿するべきではないのか。
批判するにしても支持するにしても、どちらにせよ一人一人がよくよく考えなければならないですよね。
まとめ
ここまで「プルシェンコ発言のインスタ全文!ウクライナ系でプーチン支持は違和感!」と題してお送りしてきました。
プルシェンコさんの背景を知った上で、インスタグラムでの発言の全文を読むと、「プーチン大統領を信じる」を言葉そのままに受け取るのには違和感があるように思います。
言論統制をされたロシアで、かつ、沈黙をすることも許されないと思われる状況下で精一杯の彼の平和やスポーツに対する思いが込められた発言だったのだと思います。
受け止め方は人それぞれですが、これまでのプルシェンコさんのフィギュアスケートでの偉大な功績や、テレビで見てきた素晴らしい人柄を信じられたらいいですね。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。